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僕は世界を変えることが出来ない

自分の無力さを体感する
俺はいったい何のために行動しているのだろう
俺はいったいどこに向かっているだろう
俺はいったい誰のために生きているのだろう


そんなことを取りとめもなく考える


いつだってそうだった
俺には生きる理由が必要だと思っていた
小学校の時から俺はそんなことを考えていた


いつもそんなことを考えて考えて考えて考えた
でも小学生の分際でそんなことがわかるはずもなかった
そして当然そんなことを考えていたせいでまわりから暗いやつだと思われた


だっていつだって悩んでいたんだ!
俺はなんのために生きているのか,そんなことを考えないやつの気が知れなかった
みんなの頭はなんて平和なんだって思っていた


いつだって俺は悩んでいた
俺はなんでここにいるのか
俺はなんでこんなことをやっているか
俺はなんで夜になると枕を濡らすのか,下唇を噛んでいるのか


毎日毎日俺はそれを繰り返していた
そんなことを続け結局高校生になった
俺は小学生の頃から何一つ変わっていなかった


俺は,考えた
そして考えることがしだいに苦痛になってきた
考えれば考えるほど心が痛くなった
心がいたいなんて単なる例え話だと思っていた
でも違った
実際にいたい
締め付けられるように痛い
心には痛覚があったんだ
痛みは危険信号だ
心が悲鳴をあげていた.実際に


ある日この気持ちを紙に書いてみようと思った
専用のノートを買い専用のシャーペンで今の自分の心の叫びをそのまま綴った
想いが剥き出しの心から俺の右手に伝わる
いつの日だったか
心が本当に痛くなると俺の右手までもが痛くなるようになった


紙とぺんと俺の右手,そして俺の心


そのすべてが一本の線で繋がってたんだ





でも,書いても書いても俺の現状は一向に変わらなかった
俺は,いったいどうなってしまうんだろう



悩みに悩んで高3の春,俺の心は限界だった
俺に出来るのは教科書の問題を解くことだけ
ただひたすら数学の問題を解いていた


答えがほしかったんだ
嘘でも偽りでもないそして明確な唯一つだけの答えが
解けない問題に常に苦しめられていた俺には数学の問題はとても容易く,そして唯一自分で解決することの出来る問題だった


俺はわかりやすい答えを求めていた
もっとわかりやすく生きるべきだと思った
そして俺は長くいた自分の居場所から,自ら去ることを決めたんだ


さようならをしよう





俺は長くいたあの場所にいくことをやめた
俺はなんだか抜け殻になってしまった
俺はそこでやっとわかった
俺は支えられていた,あの場所に何年もの間守られていたことに気づいた
俺はそのときの後悔は今でも胸の中に残っている
「今まで出会えたすべての人々に,もう一度いつか出会えたら,どんなに素敵なことだろう」という歌詞が頭から離れなかった



そこから俺はどんどん変わっていった
今までの俺はいなくなってしまった
まるであの場所にすべてを置いてきてしまったみたいだった


俺は世界で一番黒いココロを持ってしまった
誰よりも残酷になれる気がした
自分の最愛の人を世界で一番憎むように
それまでなかったドスグロイ負の感情が俺の心に充満していた


世界で一番大好きだったのに,なんで俺はそのひとを悲しませてしまったんだろう


世界で一番自分が憎かった
その場所にいたたくさんの人たちを俺は泣かせてしまった







男失格


そうだ俺はどうしようもない人間なんだ
どうせ俺にはなにも出来ない
俺は,もう会いたくはない
俺は,ただ逃げることしか出来なかったんだ
それをせめて戒めてほしかった
でもそれすらかなわない


だって俺のほうからいなくなったのだから



俺はあのひとたちになにも恩返しをすることができない
俺はなにひとつあの人たちの手助けをすることができない




もし
核戦争を未然に阻止したとしても
巨大な隕石から自らの命と引き換えに地球を救ったとしても
目の前の車に轢かれそうな子供を助けた代わりに植物状態になったとしても


俺はあのひとを守ったことにはならない
俺のしたことにはなんの意味もない





オレハセカイヲカエルコトハデキナイ


















よし,もう帰って寝よう